2025.06.30

椎間板変性症とは?

ついかんばんへんせいしょうとは?

椎間板変性症(ついかんばんへんせいしょう)は、背骨を作っている椎間板が年齢や使い過ぎ、けがなどが原因でダメージを受ける病気です。
椎間板は、背骨の骨と骨の間にあり、クッションのような役割をしています。これにより、歩いたり走ったりするときの衝撃を吸収し、背骨にかかる負担を減らしてくれます。

でも、椎間板は時間が経つと、どんどん水分が抜けて硬くなり、衝撃を吸収する力が弱くなります。また、椎間板の外側にある硬い部分(線維輪)が裂けたり、中身のゼリー状の部分(髄核)がずれたりすることがあります。
これが進行すると、椎間板が本来の役割を果たせなくなり、腰痛や足のしびれ、痛みなどが現れることがあります。

椎間板変性症の原因

椎間板変性症は、以下のような原因によって発症します。

1. 加齢 :
椎間板は、年齢とともに水分を失い、弾力性が低下します。これにより、椎間板が衝撃を吸収する能力が減少し、変性が進行します。

2. 遺伝的要因 :
椎間板の変性には遺伝的な要因も関与しているとされています。家族に椎間板疾患が多い場合、リスクが高くなる可能性があります。

3. 過度の負荷 :
長期間にわたる重い物を持ち上げる作業や、姿勢が悪いまま作業を行うことが椎間板に過度の負荷をかけ、変性を引き起こすことがあります。

4. 外傷や事故 :
背中や腰への衝撃的な外傷(例えば、交通事故やスポーツのケガ)が椎間板の変性を引き起こすことがあります。

5. 運動不足
筋力の低下や運動不足も椎間板への負担を増加させ、変性を促進する原因となります。

椎間板変性症の症状

 
椎間板変性症の症状は、個人によって異なりますが、一般的に以下のような症状が現れることが多いです。

1. 腰痛 :
椎間板の変性により、腰部に痛みを感じることが多いです。痛みは持続的であったり、動作を変えたときに強くなったりします。

2. 足のしびれや痛み
椎間板の変性が進行すると、神経を圧迫することがあります。その結果、足にしびれや痛み、感覚の鈍さが現れることがあります。

3. 姿勢や歩行の問題
椎間板変性症による痛みや不快感により、姿勢や歩き方に問題が生じることがあります。

4. 筋力の低下
神経圧迫が進むと、足や腰の筋肉の弱まりが起こることがあります。これにより、体を支える力が弱くなります。

椎間板症と椎間板変性症の違い

椎間板症

椎間板症は、椎間板に異常が生じている状態を指します。具体的には、椎間板が圧迫されて変形したり、軽い損傷を受けたりすることです。
この状態は、必ずしも症状(痛みやしびれ)を引き起こすわけではなく、場合によっては無症状で過ごせることもあります。

椎間板変性症

椎間板変性症は、椎間板の進行的な劣化(変性)を指します。加齢や繰り返しの負荷、けがなどが原因で椎間板が変化し、衝撃吸収機能が低下します。
椎間板が乾燥して硬くなり、線維輪が裂けることによって、腰痛や足のしびれといった症状が現れることがあります。

椎間板変性症の診断方法

椎間板変性症は、診察といくつかの検査を通じて診断されます。

1. 問診と身体検査
医師は患者の症状を確認し、腰や足の痛み、しびれ、動きに関する情報を収集します。また、身体的な検査を行い、神経の圧迫状態をチェックします。

2. X線検査
椎間板の状態や骨の変化を確認するためにX線を使用することがあります。ただし、椎間板自体の状態はX線では確認しにくいです。

3. MRI(磁気共鳴画像)検査
MRIは椎間板の状態や神経の圧迫状況を詳しく確認するために非常に有効な検査方法です。椎間板がどの程度変性しているかを視覚的に確認できます。

4. CTスキャン
CTスキャンも椎間板や骨の状態を確認するために使われることがありますが、MRIほど詳細には椎間板の変性を評価できません。

椎間板変性症の治療法

椎間板変性症の治療は、症状の程度や患者の健康状態に応じて異なります。以下のような治療法があります。

薬物療法

・痛み止め
鎮痛剤や抗炎症薬(NSAIDs)は痛みを緩和するために使用されます。

・筋弛緩薬
筋肉の緊張を緩めるために使用されることがあります。

リハビリテーション

・物理療法
温熱療法や電気療法などで痛みを和らげ、筋力を回復させます。

・ストレッチと筋力強化
特定のストレッチや筋トレを行うことで、椎間板への負担を減らし、症状の管理をサポートします。

生活習慣の改善

・姿勢の改善や、重いものを持ち上げる際の注意点、運動不足の解消など、生活習慣の改善が求められます。

手術

症状が非常に進行している場合、または非外科的な治療が効果を示さない場合、手術を検討することがあります。

椎間板変性症の予防法

予防には、以下のような取り組みが有効です。

・適度な運動
腰や背中を支える筋肉を強化し、柔軟性を高めることが重要です。

・体重管理
過剰な体重は椎間板に負担をかけます。健康的な体重を維持することが大切です。

・正しい姿勢を保つ
長時間座るときや立っているときに正しい姿勢を保つことが椎間板の負担を減らします。

・無理な動作を避ける
重いものを持ち上げるときには、腰を使わず、膝を使うようにしましょう。

椎間板変性症は何歳ぐらいの人がなりやすいですか?

椎間板変性症は、一般的に30歳を過ぎたあたりから発症することが多いとされています。しかし、加齢とともにそのリスクは増し、特に40歳以降では症状が顕著になりやすいです。多くの場合、50歳以上の方に見られることが多いですが、若い人でも過度な負担がかかるような生活習慣やスポーツ、職業的な影響を受けると、30代や20代でも発症することがあります。

完治しますか?

椎間板変性症は基本的に完治が難しいとされています。これは、椎間板が加齢や負荷により構造的に変化してしまうため、元の状態に戻すことはできません。ただし、症状の管理は可能であり、治療を行うことで痛みや不快感を軽減し、生活の質を向上させることができます。
完治とは言えませんが、適切な治療を受けることで、症状の進行を遅らせたり、痛みの緩和を実現することは十分に可能です。治療方法としては、薬物療法、リハビリテーション、手術などがありますが、どれも症状のコントロールを目的として行います。

治療の期間

・薬物療法やリハビリ
これらは通常、数週間から数ヶ月にわたって継続的に行われます。効果が見られるまでに時間がかかる場合もあり、定期的な通院や治療を続ける必要があります。通常、2〜3ヶ月間の治療を行うことが多いです。

・手術
手術の場合、術後の回復に数週間から数ヶ月がかかります。リハビリやフォローアップが必要な場合もあり、完全に回復するまでに6ヶ月以上かかることもあります。

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