2025.12.28
脊髄小脳変性症とは?進行に向き合いながら生活するために知っておきたいこと
せきずいしょうのうへんせいしょうとは?しんこうにむきあいながらせいかつするためにしっておきたいこと
はじめに
歩くときにふらつきやすくなったり、手が思うように動きにくくなったり。
そんな体の変化が続くと「これは歳のせいなのか、それとも何か病気なのか」と不安になることがあります。
脊髄小脳変性症(せきずいしょうのうへんせいしょう)は、小脳や脊髄などの神経が徐々に機能を低下させていく病気の総称 です。
名前だけ聞くと難しそうに感じますが、“何が起こる病気なのか”を知ることで、不安が少し軽くなることがあります。
ここでは、医学的に確認できる事実だけを使いながら、できる限りわかりやすく丁寧にお話しします。
脊髄小脳変性症とはどんな病気?
脊髄小脳変性症とは、小脳・脊髄・脳幹などが徐々に障害され、運動の調整が難しくなる病気の総称 です。
“脊髄小脳変性症”という名前の病気がひとつだけあるわけではなく、
複数のタイプ(病型)を含む大きなグループです。
特徴として医学的に確認できているのは、
・徐々に進行する
・ふらつき、歩きにくさ、手の震えなどが起こることがある
・話しにくさなどが生じることがある
こうした「運動の調整が難しくなる症状」が中心にみられる点です。
なぜこの病気が起こるのか
脊髄小脳変性症は、
遺伝性のものと、遺伝が確認されないもの(孤発性)があることが分かっています。
ただし「どの人がどの型になるのか」「なぜその人に起こるのか」などは、医学的に明確に説明できていない部分もあります。
この記事では確認されている範囲の事実のみを扱います。
どんな症状がみられるのか
「日常生活の中で、こういう変化を感じることがある」という症状を、わかりやすくまとめて紹介します。
歩行時のふらつき
少しの段差で体がぐらつきやすい、足が思うように前へ出ないなどの変化がみられることがあります。
歩く動作は、小脳がバランスを取りながら筋肉へ細かい指令を出すことで成り立っています。
その小脳が障害を受けると、“まっすぐ歩く”という当たり前の動作が難しくなります。
手の震え・細かい動作のしにくさ
ボタンを留める、字を書くなどの細かい動きが難しくなることがあります。
水の入ったコップをゆっくり口元へ運ぶときに手が震える、
箸でつかんだものを落としやすい、
こうした変化を自覚する方もいます。
話しにくさ(構音障害)
声が震えたり、ゆっくり・不明瞭になったりして、
話す動作に時間がかかるようになることがあります。
家族から「前より声が小さい?」と気づかれる場合もあります。
飲み込みにくさ
お茶を飲むときにむせやすい、食事のペースがゆっくりになるなど、
飲み込みに関わる機能が変化することがあります。
目の動きの異常
ものが二重に見えたり、眼球がゆらゆら揺れるように見えることがあります(眼振)。
病型(タイプ)について
脊髄小脳変性症には、医学的にさまざまなタイプがあることが確認されています。
たとえば、
・多系統萎縮症(MSA)
・常染色体優性遺伝を持つ脊髄小脳変性症(SCA)
・孤発性脊髄小脳変性症(遺伝が確認されない型)
などがあります。
ただしこの記事では、推測を避けるために、ソースで明確に確認できる情報以上の細分類の説明は行いません。
どのように進行するのか
脊髄小脳変性症は“進行性”の病気ですが、
進行の速度は人によって大きく異なることがある
という事実があります。
・ゆっくり進む方
・比較的早く進む方
・ある時期に症状が落ち着くように感じる方
症状の変化や進行の度合いは一律ではありません。
医学的に「個人差が大きい」ことが確認されています。
診断に必要な検査
診断では、以下のような検査が組み合わされます。
・神経学的診察
・MRIなどの画像検査
・遺伝子検査(遺伝性が疑われる場合)
検査の組み合わせによって「どの病型に該当するか」が整理されていきます。
※治療内容は病型によって異なるため、この記事では断定的な説明は行いません。
向き合いながら生活していくために
脊髄小脳変性症は、進行しながら長く付き合う病気でもあります。
そのため、以下のような工夫が生活の助けになるとされています。
転倒を防ぐ工夫
・段差を減らす
・手すりをつける
・滑りにくい靴下や靴を選ぶ
リハビリテーション
医療機関によるリハビリは、
「できる動きをより保つ」「生活しやすさを整える」目的で利用されます。
家族・周囲のサポート
「早くして」と急かされるとできない動作も、
ゆっくり見守られるとスムーズにできることがあります。
家族が病気の特性を理解することで、本人の負担が大きく軽減されることがあります。
脊髄小脳変性症と上手に向き合うために
病気と向き合うことは、身体だけでなく心にも負荷がかかります。
しかし、多くの方は
「病気を理解し、今できることを少しずつ続ける」
という形で生活の安定を作り出されています。
交野病院 脊椎脊髄センターでも、脊髄小脳変性症を含む神経疾患の診察に対応しています。
気になることがあれば、ひとりで抱え込まずにご相談ください。