2025.11.30
脊髄梗塞とは?原因・症状・治療・予後までをわかりやすく解説
せきずいこうそくとは?げんいん・しょうじょう・ちりょう・よごまでをわかりやすくかいせつ
「突然、足が動かない」——それは脊髄梗塞かもしれません
朝起きたら足が動かない、感覚がない。 そんな突然の症状が出たとき、「脳梗塞では?」と思われる方が多いかもしれません。 しかし、脊髄(せきずい)に起きる梗塞でも、似たような症状が起こります。
これが「脊髄梗塞(せきずいこうそく)」です。 脊髄に血液を送る血管が詰まることで、神経細胞が障害され、手足のまひや感覚の異常が起こります。 非常にまれな病気ですが、早期発見と治療が回復の鍵になります。
脊髄梗塞とは?──“背骨の中の神経”で起こる血流障害
脊髄梗塞は、脊髄に酸素や栄養を送る動脈が詰まり、神経が壊死(えし)してしまう病気です。 脳梗塞が「脳の血管」に起こるのに対して、脊髄梗塞は「脊髄の血管」に起こります。
脊髄は、脳から全身へ命令を伝える大切な“通り道”。 その一部が障害されると、体のどの部分にも影響が及ぶことがあります。
脊髄梗塞の主な原因
原因はさまざまですが、以下のような血流障害が多く関係しています。
・動脈硬化:血管が狭くなり、血流が悪化
・大動脈瘤や手術の影響:血管の変形や遮断
・血栓(血の塊)や塞栓(血のかけら):血管をふさぐ
・低血圧、ショック:血流が一時的に途絶える
・解離性大動脈瘤:大動脈の壁が裂け、血流が脊髄に届かなくなる
一部では、原因が特定できない「特発性脊髄梗塞」もあります。
症状:どんな変化が起こるのか
脊髄梗塞の症状は、どの部分の血管が詰まったかによって異なります。 多くの場合、突然発症するのが特徴です。
・下半身のまひ(両脚が動かない)
・手足のしびれや感覚麻痺
・排尿・排便のコントロールができない
・背中や腰に強い痛み
特に「痛みのあとにまひが出た」場合は、脊髄梗塞の可能性が高くなります。
脊髄梗塞の診断方法
診断には、主にMRI検査が用いられます。 MRIでは、脊髄の血流障害や炎症の有無を確認できます。
検査の流れ
・症状の聞き取り(発症のタイミング・痛み・まひ)
・神経学的診察(感覚・反射・筋力など)
・MRI検査
・必要に応じて血液検査やCTで他疾患との鑑別
脊髄梗塞は非常にまれなため、他の病気(脊髄炎・腫瘍・外傷など)との見分けが重要です。
治療法:まずは血流を守ることが第一
脊髄梗塞の治療は、脊髄への血流をいかに早く回復させるかが鍵になります。
急性期(発症直後)
・血圧を保ち、脊髄への血流を確保
・点滴による循環改善薬の投与
・血栓を防ぐ抗血小板薬の使用
・呼吸管理、排尿管理、褥瘡(じょくそう)予防
回復期(数日〜数週間後)
・理学療法士によるリハビリテーション開始
・筋肉のこわばりを防ぐストレッチや訓練
・座位、立位の練習を段階的に実施
交野病院のような脊椎専門施設では、発症早期からリハビリを組み合わせることで、機能回復を最大限に引き出す方針を取っています。
リハビリの目的と進め方
リハビリの目的は、「残された神経の働きを活かして、生活動作を取り戻す」ことです。
主なリハビリ内容
・関節の可動域訓練
・筋力トレーニング(できる範囲で)
・立位・歩行練習
・排尿・排便のリズム訓練
・装具(足首や膝のサポート)を使った歩行補助
リハビリを通じて、患者さん自身が「体の動きを感じ取る力」を取り戻すことが重要です。
予後(回復の見込み)について
脊髄梗塞の回復は、どの部位がどれだけ障害を受けたかによって異なります。 軽症であれば数週間〜数ヶ月で歩行が可能になることもありますが、重症例では麻痺が残ることもあります。
重要なのは、「あきらめず、継続的にリハビリを続けること」。 神経は時間をかけて少しずつ回復するため、焦らず長期的な視点で取り組むことが大切です。
再発予防のためにできること
・血圧、血糖、コレステロールをコントロールする
・定期的に血管や心臓の検査を受ける
・脊椎疾患や大動脈瘤の持病がある場合は医師の指導を受ける
・水分をしっかりとる(脱水予防)
生活習慣の見直しも、脊髄梗塞の再発を防ぐ重要なポイントです。
交野病院・脊椎脊髄センターでは、脊髄梗塞の患者さんに対して、医師・理学療法士・看護師が連携したチーム医療を行っています。
脊髄は繊細な神経の集まりですが、リハビリや支援を通して「残された力を活かす」ことは可能です。
突然の麻痺が起きたとき、「様子を見よう」とせず、できるだけ早く受診することが何よりも大切です。
「おかしいな」と感じたら、迷わず医療機関へ。その一歩が、回復への道を開きます。