2025.12.28

脊髄性筋萎縮症(SMA)とは?からだを支える力が少しずつ変化していく病気

せきずいせいきんいしゅくしょう(えすえむえー)とは?からだをささえるちからがすこしずつへんかしていくびょうき

はじめに

「最近、力が入りにくい」「手足が細くなったように見える」
そんな変化が続くと、どんな方でも不安になると思います。
脊髄性筋萎縮症(せきずいせい・きんいしゅくしょう)、略して SMA は、筋肉を動かす神経が弱っていくことで、筋力が低下していく病気です。
と聞くと非常に難しく感じますが、体の中で何が起きているのかを丁寧にほどいていくと、「なるほど、そういう仕組みだったのか」と理解しやすくなります。

脊髄性筋萎縮症(SMA)とはどんな病気?

SMAは、脊髄の「運動神経の細胞(運動ニューロン)」が障害されていくことで、筋肉を動かす力が少しずつ弱くなる病気です。
筋肉そのものが突然弱くなるのではなく、“筋肉を動かす司令塔(運動神経)が弱っていく” ことで、筋肉がだんだん細くなったり、力が入りにくくなります。
脳からの命令は正しく出ていても、途中で伝える人(運動ニューロン)が弱ってしまえば、筋肉は十分に動けません。

なぜ運動神経が弱くなるのか

SMAは、医学的に 「SMN1」という遺伝子の異常 が原因で起こることが知られています。
SMN1は、運動神経が働くために必要なタンパク質をつくるための遺伝子です。
この遺伝子がうまく働かないと、運動神経が弱り、筋肉を支え続ける力が低下していきます。

どんな症状があらわれるのか

SMAの症状は、出現する年齢やタイプによって異なりますが、
共通して見られるのは 筋肉の力が弱くなる という変化です。

首のすわりが遅い・座れない(乳児期に発症する場合)
生後まもなくから筋力が弱いため、
・頭を支える
・寝返りを打つ
・ひとりで座る
といった発達が難しくなることがあります。

歩きにくさ、立ち上がりにくさ
年齢が上がってから発症するタイプでは、
・階段を上るのがつらい
・立ち上がるときに力が入りにくい
・走る動作が難しい
などの症状がみられることがあります。

筋肉が細くなる(筋萎縮)
運動神経の働きが弱くなると、筋肉が「使われにくくなる」ため、
見た目にも細くなることがあります。

呼吸が弱くなる
胸の筋肉が弱くなると、呼吸に負担がかかる場合があります。
そのため、呼吸のサポートが必要になるケースもあります。

SMAにはタイプがある

SMAは“ひとつの病気”ではなく、
症状が出る時期や特徴によって複数のタイプに分けられることが医学的に確認されています。
代表的な分類は以下です。
・I型(乳児期に発症)
・II型(乳幼児期)
・III型(小児〜成人)
・IV型(成人以降)
年齢による違いはありますが、“筋力の低下が徐々に進む” という共通点があります。

SMAの診断

SMAの診断は、
・神経学的診察
・筋電図などの検査
・遺伝子検査(SMN1の確認)
などを組み合わせて行われます。
診断に遺伝子検査が使われる理由は、SMAの原因が明確に遺伝子レベルで特定されているためです。

どのように向き合っていく病気なのか

SMAは、進行性の病気です。
ただし、進行の速度や症状の変化はタイプ・年齢・生活背景によって大きく異なるため、
一律に「こう進む」と断定することはできません。
医療機関では、
・リハビリ
・呼吸ケア
・栄養管理
など、その方の状況に合わせたサポートが行われます。
また、SMAでは近年、「運動神経が働くために必要な遺伝子の仕組みを補う治療」が確立されてきており、医療の選択肢が増えていることも事実です。

日常生活でできる工夫

SMAと向き合うために、生活の中で工夫できることがあります。

疲れ方のペース配分
体力の消耗が早く感じられることがあるため、
「できるときにまとめて」ではなく、
日常のペースを“ゆっくり丁寧に”することで負担が減ります。

関節を守る動き
筋力が弱くなると関節に負担がかかるので、
・大きな段差を避ける
・手すりをつける
・床からの立ち上がり動作を減らす
といった工夫が助けになります。

呼吸・姿勢のケア
胸の筋力が弱くなると呼吸に影響が出やすくなるため、
姿勢を整える工夫や、呼吸を助ける機器の利用が推奨されることがあります。

SMAとともに生きるということ

SMAは、体の動きに影響する病気ですが、その人の“価値”や“能力”を奪う病気ではありません。
医療の進歩によって選べるケアの幅も増えており、
・生活しやすさを整える
・必要なサポートを取り入れる
・できる動きを保つ
こうした取り組みで、生活の質が大きく変わります。
不安なときは、遠慮なく医療機関に相談していただくことが大切です。
交野病院 脊椎脊髄センターでも、神経疾患の相談を受け付けています。

ご相談は「交野病院 脊椎脊髄センター」へ

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