2025.12.28

脊髄空洞症とは?からだの中心で起こる“空洞”の変化

せきずいくうどうしょうとは?からだのちゅうしんでおこる“くうどう”のへんか

はじめに

「腕がしびれる」「手の力が入りにくい」
そんな変化が続くと、日常生活の中で不安を抱えてしまいます。
脊髄空洞症(せきずいくうどうしょう)は、脊髄の中心部分に“液体がたまる空洞”ができる病気です。
普段、脊髄がどんな形をしているか意識することはほとんどありません。だからこそ、この病気の名前を聞くと「いったい何が起こるの?」と感じやすいものです。
この記事では、脊髄空洞症について
・どんな病気なのか
・どんな症状が起こるのか
・どう向き合っていくのか
を、わかりやすくお伝えします。

脊髄空洞症とはどんな病気?

脊髄空洞症

脊髄空洞症とは、脊髄の内部(中心部)に液体がたまって“空洞”ができる状態を指します。
この空洞のことを「空洞(シリックス)」と呼ぶことがあります。
脊髄の中心に不要な空間ができると、その周囲の神経が圧迫され、徐々に体の感覚や運動に変化が出ることがあります。

なぜ空洞ができるのか

脊髄空洞症は、日常の生活習慣が原因で起こる病気ではありません。

キアリ奇形(Ⅰ型)が背景にある場合
脳と脊髄の境目にある構造(小脳扁桃)が本来の位置より下がることで、脳脊髄液の流れが変化し、空洞ができることがあります。

脊髄の外傷
交通事故など、大きな外力が加わったあとに脊髄の中で液体の流れが変わり、
時間をかけて空洞が形成されることがあります。

くも膜炎などの炎症
脊髄を包む膜に炎症が起こり、脳脊髄液の流れが妨げられることで、
空洞ができる場合があります。

どんな症状があらわれるのか

脊髄空洞症の症状は、“脊髄のどの高さに空洞があるか”“どれくらい広がっているか”で異なります。

痛みやしびれ
・首
・肩
・腕
・背中
これらの部位に、しびれ・慢性的な痛みを感じることがあります。

温度が分かりにくくなる
特徴的な症状として、
「痛み・温度の感覚だけ」が鈍くなる
ことがあります。
触られた感覚(触覚)は残るのに、
「熱い・冷たい」「痛い」が分かりにくくなることがあります。
これは、脊髄の中でも“痛み・温度を伝える神経”が空洞に近い位置にあるためです。

筋力の低下
・手や腕に力が入りにくい
・細かい作業が難しい
などの動きの変化がみられることがあります。

筋肉のこわばり(痙縮)
神経が圧迫されることで、筋肉がつっぱったり固くなったりする場合があります。
手の変形・筋萎縮
長く症状が続くと、手の筋肉が痩せたり、変形がみられることがあります。

診断に使われる検査

脊髄空洞症が疑われる場合、体の状態を正確に把握するために、次のような検査が行われます。

MRI検査
脊髄内部の空洞の位置や大きさを確認するのに使われます。
脊髄空洞症の診断には欠かせない検査です。

神経学的診察
しびれ・痛み・筋力・感覚などの変化を確認し、脊髄のどの部分に影響が出ているかを見ていきます。

治療の考え方

脊髄空洞症の治療は、原因・空洞の大きさ・症状の強さ によって異なります。

原因がキアリ奇形の場合
脳脊髄液の流れを改善する手術(後頭骨を広げるなど)が選択肢になることがあります。

外傷やくも膜炎が背景にある場合
脊髄の圧迫を軽減する手術や、空洞内の液体の流れを調整する手術が選択されることがあります。

症状が軽い場合
症状が進んでいない場合には、経過観察を行いながら体の変化を慎重に見守ることがあります。

どの治療が必要かは、
脊髄の状態・原因・症状などの組み合わせで決まるため、医師が検査結果をもとに判断します。

生活の中で気をつけたいこと

脊髄空洞症と向き合いながら生活するうえで、日常動作の工夫が役に立つことがあります。

首に負担をかけない動き
急な振り向きや、重い荷物を長時間持つ動作は首に負担がかかることがあります。

転倒を防ぐ環境づくり
空洞が大きくなると、筋力やバランスに影響が出ることもあるため、転倒予防はとても大切です。

無理のないペースを意識する
手の力が入りにくい場合、「できるだけゆっくり」「休みながら」動作することで負担が軽くなります。

脊髄空洞症とともに生きる

脊髄の内部に空洞ができるというだけでも、大きな不安を感じる方は少なくありません。
しかし、
・原因がはっきりしているタイプがある
・治療の選択肢が確立されている
・画像検査で状態を丁寧に把握できる
こうした点は、確実に医療的な支えになります。
体の変化に気づいたときは、
ひとりで抱えず、医療機関へ相談していただくことが大切です。
交野病院 脊椎脊髄センターでも相談を受け付けています。

ご相談は「交野病院 脊椎脊髄センター」へ

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