2024.07.03

腫瘍摘出術

しゅようてきしゅつじゅつ

腫瘍摘出術とは

腫瘍摘出術(しゅようてきしゅつじゅつ:Tumor Resection Surgery)は、脊椎や脊髄に発生した腫瘍による神経圧迫を解消し、痛みや神経症状を改善を目的として、腫瘍を外科的に取り除く手術です。可能な限り腫瘍を完全に摘出し、再発のリスクを減らします。
また、摘出した腫瘍組織を病理検査に回し、腫瘍の性質を確認することも大切です。

腫瘍摘出術の種類(硬膜外腫瘍摘出術)

硬膜外腫瘍摘出術は、脊椎や脊髄の外側に発生する腫瘍を外科的に取り除く手術です。主に転移性腫瘍や良性腫瘍が対象となります。
この手術は、脊髄に直接触れないため手術の難易度が比較的低く、脊髄の直接的な操作が少ないため、術後の回復が早いのがメリットです。ただし、腫瘍の位置によっては、完全に摘出できないケースがあり、その場合再発リスクが高くなります。

手術の手順
首や背中に切開を加え、脊椎骨にアクセスします。
椎弓の一部を取り除き、腫瘍へのアクセスを確保するとともに、脊柱管を広げて腫瘍を露出させます。
次に、顕微鏡を使用して腫瘍を慎重に摘出します。腫瘍が脊髄や神経根に近接している場合は、神経機能を保護しながら腫瘍を取り除きます。
必要に応じて、大きな骨の除去や脊椎の不安定性が予想される場合、金属製のロッドやスクリューを使用して脊椎を固定します。

腫瘍摘出術の種類(硬膜内髄外腫瘍摘出術)

硬膜内髄外腫瘍摘出術は、脊椎の硬膜内で脊髄の外側に発生する腫瘍を外科的に取り除く手術です。主に髄膜腫や神経鞘腫などの良性腫瘍が対象となります。
この手術は、多くの場合腫瘍を完全に摘出できるため、再発リスクが低いというメリットがあります。ただし、硬膜を切開するため、髄液漏や感染のリスクを考慮して行わなければなりません。

手術の手順
首や背中に切開を加え、脊椎にアクセスします。次に椎弓の一部を取り除き、脊柱管を広げて硬膜内にアクセスします。その後、硬膜を開いて腫瘍を露出させます。硬膜は脊髄と神経根を覆う保護膜です。
腫瘍は、顕微鏡を使用して慎重に摘出します。腫瘍が脊髄や神経根に近接している場合は、神経機能を保護しながら腫瘍を取り除きます。
最後に、硬膜を縫合し再び脊髄や神経根を保護したうえで、切開部を層ごとに縫合します。

腫瘍摘出術の種類(硬膜内髄内腫瘍摘出術)

硬膜内髄内腫瘍摘出術は、脊髄の内部に発生する腫瘍を外科的に取り除く手術で、腫瘍摘出により神経機能を保護することを目的としています。主に星細胞腫や上衣腫などの腫瘍が対象となります。
この手術は、脊髄内の深部にある腫瘍も摘出可能な方法ですが、脊髄の内部にアクセスするため、腫瘍摘出術の中でも特に高度な技術を要します。また、脊髄自体を操作するため、神経損傷のリスクが他の手術に比べて高いことも考慮しなければなりません。

手術の手順
首や背中に切開を加え脊椎にアクセス。椎弓の一部を取り除き、脊柱管を広げて硬膜内にアクセスします。
次に、硬膜(脊髄と神経根を覆う保護膜)を開いて腫瘍を露出させます。
その後、脊髄の表面を慎重に切開し腫瘍にアクセスするのですが、この手順は非常に繊細な技術が必要になります。
腫瘍は、顕微鏡を使用して慎重に摘出しますが、腫瘍が脊髄内部に深く浸潤している場合、神経機能を保護しながら可能な限り腫瘍を取り除きます。
最後に、脊髄と硬膜を縫合して脊髄や神経根を保護し、切開部を層ごとに縫合します。

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