2025.05.01

脊柱管狭窄症とは?原因・症状・進行・治療法を解説

せきちゅうかんきょうさくしょうとは?げんいん・しょうじょう・しんこう・ちりょうほうをかいせつ

はじめに

脊柱管とは、背骨の中にあるトンネルのような構造で、脊髄や神経が通っています。加齢や背骨の変形などによって脊柱管が狭くなり、神経を圧迫してしまう状態を「脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)」と呼びます。
脊柱管狭窄症は特に50歳以上の中高年に多く見られ、腰(腰部脊柱管狭窄症)が最もよく起こりますが、首(頸部脊柱管狭窄症)に発生する場合もあります。

脊柱管狭窄症

出典:https://www.tomita-seikei.com/spinal/

脊柱管狭窄症の主な原因

脊柱管狭窄症の原因はさまざまですが、主に以下が挙げられます。
・加齢による背骨や椎間板の変性
・骨や靭帯の肥厚(厚くなること)
・すべり症や側弯症など、背骨のずれや変形
・交通事故や転倒などによる外傷
遺伝的な体質や重いものを持つ作業など、生活習慣の影響も一因とされています。

症状と進行

脊柱管狭窄症の主な症状には次のようなものがあります。

・足のしびれ
特に歩いたときにしびれや痛みが現れやすい

・間欠性跛行(かんけつせいはこう)
少し歩くと足が痛んだりしびれたりして休みたくなり、休むとまた歩けるようになる

・腰痛や下肢の脱力感
重症になると、排尿や排便のコントロールが難しくなることも

通常、症状は徐々に進行していきますが、急激に悪化するケースもあるため、注意が必要です。

診断方法

脊柱管狭窄症の診断は
・問診、視診、触診
・MRI(磁気共鳴画像法)
・CT検査
・X線(レントゲン)検査
特にMRIは、神経の圧迫状態を詳しく見ることができ、診断に非常に有効です。

治療法 - 保存療法

治療には、大きく分けて保存療法と手術療法があります。
保存療法で症状が改善する人も多くおられるため、まずは保存療法での症状の緩和を目指します。

薬物療法

以下のような薬で、症状を緩和します。

脊柱管狭窄症における薬物療法

リハビリテーション(運動療法)

筋肉の柔軟性向上と背骨の安定性強化を目的として、理学療法士が症状に応じたメニューを調整します。
ストレッチ:腰部や太もも裏の筋肉を伸ばすことで神経の圧迫を和らげます
体幹トレーニング:腹筋・背筋を鍛えて腰椎を安定させ、再発予防にもつながります
姿勢指導:正しい立ち方・座り方を学び、腰への負担を減らします。

ブロック注射(神経周囲に痛み止めを注射)

神経の周辺に局所麻酔薬やステロイドを注射し、痛みや炎症を和らげる治療法です。
・神経根ブロック:特定の神経根を対象にピンポイントで注射
・硬膜外ブロック:脊髄周囲に注射し、広い範囲の神経痛を和らげる

効果は一時的なこともありますが、保存療法中の痛み緩和に非常に有効です。

治療法 - 手術療法

保存療法で改善しない場合、手術が検討されます。代表的な手術方法は次のとおりです。

除圧術

神経を圧迫している骨や靭帯の一部を削って、脊柱管を広げる手術です。
・一般的には「椎弓切除術」や「椎弓形成術」などが含まれる
・圧迫の原因になっている部分を除去して、神経の通り道を確保
・体への負担が比較的少なく、高齢者にも行われることが多い

固定術

除圧後に、背骨が不安定になる場合に行う手術です。
・金属のスクリューやロッドを使い、背骨を固定する
・「椎体間固定術」などが代表的
・不安定性のあるすべり症や複数レベルの手術時に選択される
・骨がしっかりくっつくまで数ヶ月の時間が必要

予防と日常生活の注意点について

脊柱管狭窄症は、放置すると生活に大きな支障をきたす可能性があります。足のしびれや歩きづらさを感じたら、早めに整形外科を受診しましょう。
脊柱管狭窄症を予防・悪化させないためには、正しい姿勢を保つこと・体重管理をすること・適度な運動習慣を続けること・重い物を無理に持たないことなど、生活において注意することが大切です。
もし脊柱管狭窄症だと診断された場合でも、医師の指導に基づいて適切な治療を受けることで、痛みや不安を軽減し、元気な毎日を取り戻すことが可能です。

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