2025.05.01

神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)

しんけいしょうしゅ

神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)とは?

神経鞘腫

神経鞘腫(しんけいしょうしゅ)とは、神経を包んでいる「シュワン細胞」という細胞から発生する良性の腫瘍です。英語では「Schwannoma」と呼ばれます。
主に脳や脊髄、腕や足などの末梢神経など、全身のあらゆる神経に発生する可能性があります。ゆっくりと成長し、痛みやしびれ、筋力低下などの症状を起こすことがありますが、多くの場合は良性であり、悪性化するケースは非常に稀です。
症状や腫瘍の大きさによっては外科手術で摘出することがあり、完全に取り除けば予後は良好とされています。

神経鞘腫が発生する正確な原因は現在でも明確にされていません。遺伝的要素や神経線維腫症など特定の遺伝性疾患との関連性が指摘されていますが、多くは偶然発生すると考えられています。

主な症状

特に発生しやすい部位(好発部位)は、脊髄周辺、首(頚部)、腰部、手足の末梢神経、後腹膜(おなかの奥)です。
神経鞘腫の症状は、腫瘍が発生した場所によって異なりますが、主に以下のような症状が現れます。

・脊髄、首(頚部)、腰に発生した場合
手足のしびれや痛み、筋力の低下、動かしにくくなるなどの症状が現れます。

・腕、手首、指に発生した場合
部分的なしびれ感や運動が難しくなる、指や手の細かい動きが困難になるなどの症状が現れます。

・足に発生した場合
歩く際の違和感や歩行困難、足の痛みやしびれ、感覚が鈍るなどの症状が現れます。

・舌、咽頭部(のど)に発生した場合
飲み込みにくさ、喉の違和感、声の変化などの症状が現れます。

・後腹膜(お腹の奥)、胃に発生した場合
腹部の鈍い痛みや圧迫感、胃の不快感や食欲不振などの症状が現れます。

・皮膚表面に発生した場合
通常は痛みを伴いませんが、触れるとわかる硬めのしこりなどの症状が現れます。

これらの症状はゆっくりと進行し、徐々に悪化することがあります。症状が気になる場合や継続する場合は、早期に専門医(脳神経外科や整形外科)を受診することが大切です。

神経鞘腫の検査・診断

MRI検査

腫瘍の位置や大きさ、性質を最も正確に把握できます。神経との位置関係や周囲の組織への影響も詳細に評価できます。

CT検査

腫瘍の石灰化や骨との関連性を調べる場合に有用です。MRIと併用することで、さらに詳細な診断が可能となります。

エコー検査(超音波検査)

特に皮膚の下など浅い部分の腫瘍を評価する際に便利で、リアルタイムで腫瘍の状態を確認できます。

病理診断

摘出した腫瘍や組織の一部を顕微鏡で詳しく観察し、その細胞の性質や構造を調べます。
腫瘍が良性(普通の神経鞘腫)なのか、稀に存在する悪性の腫瘍(悪性末梢神経鞘腫)なのかを判断し、治療方針を決定します。

改善のために

良性の神経鞘腫は摘出すれば良好な予後が期待できます。ただし、腫瘍が神経を圧迫していた場合、術後も症状が残る可能性があります。

神経鞘腫の診断や治療は主に脳神経外科や整形外科が担当します。症状や腫瘍の部位に応じて、早めに専門的な病院で診てもらうようにしうましょう。

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